公開日 23/10/2021 最終更新日 26/02/2023
カウナスについて
カウナスの歴史と概要
リトアニア第二の都市であるカウナス(Kaunas)は、人口約35万人、首都ヴィリニュス(Vilnius)からは100kmほど西方に位置する街です。
ヴィリニュスがロシアによって占領された際には臨時の首都となった歴史や多くのユダヤ人難民の命を救った ”命のヴィザ” で知られる日本人外交官である杉原千畝(すぎはら ちうね)がリトアニアの日本領事館に勤務していた際に滞在していた街でもあります。
千畝の軌跡と街並みを楽しむ
日本人としてまず必ず訪れたいのが、先に記載した杉原千畝ゆかりの地であるスギハラ・ハウス(杉原記念館)です。国の命令に逆らったこともあり、近年に至るまで評価されてこなったことから日本での知名度は低かった千畝ですが、近年の国による名誉回復や2015年にそのストーリーが映画化されたことなどで今となっては多くの人が知ることになった先人の軌跡に触れることができる場所です。
その他の観光ポイントとしては、こちらも千畝に縁のある地で、領事館を退去した千畝がリトアニアを離れる直前まで滞在し、命のヴィザを書き続けた場所として知られるホテル・メトロポリスやヴィリニュスがロシア占領下に置かれたことで臨時的に首都となったカウナスで大統領官邸として使用された旧大統領官邸、14世紀に建造されたカウナスで最も古い現存する建物となっているカウナス城などがあります。ヨーロッパらしい街並みや美しい教会も散策を楽しいものにしてくれますので、こういった所も色々巡ってみてください。
街全体はコンパクトであることから、ヴィリニュスに滞在しながら日帰り観光ということも十分可能なので、併せて旅を計画して頂くと効率良く楽しめるでしょう!
カウナスへのアクセス
日本からリトアニアへは直行便がないため、日本から空路で直接リトアニアへ向かう際はどのようにしても最低1回は乗換えが必要となります。
基本的には首都であるヴィリニュスまたはこちらカウナスを目指すことになるかと思いますが、この間は100km程度、時間にしても約1.5時間、鉄道やバスで7€程度とコストや距離を感じるほどではないので、旅のプランや航空券の値段などでどちらを利用するか考えて頂くと良いでしょう。
私はデンマークに滞在していた際に訪れましたが、コペンハーゲンからはカウナスへ直行便LCCが飛んでいたため、これを利用しています。周遊で旅をする方の場合は、出発地点によってどちらの空港へ向かうのがより都合が良いかというのが変わってくるので、それぞれ調べてみることをオススメします。
また、隣国ラトヴィアの首都であるリガ(Riga)も4-5時間程度とアクセスが良く、こちらと併せて旅をする際もバスで簡単に移動できます。リガも歴史地区が美しい街ですので是非訪れたいですね!
- カウナス国際空港(KUN : Kauno Tarptautinis Oro Uostas)
- 住所 : Oro uosto g. 4, Karmėlava 54460 リトアニア
- 公式サイト : こちら
- ※マップの初期配置外なります。拡大することで場所をご確認頂けます。
- ヴィリニュス国際空港(VNO : Tarptautinis Vilniaus oro uostas)
- 住所 : Rodūnios kl. 10A, Vilnius 02189 リトアニア
- 公式サイト : こちら
スギハラ・ハウス(杉原記念館) / Sugihara House
千畝の軌跡に触れる
日本人としてリトアニアやカウナスを旅する際には必ず訪れたい場所のひとつです。第二次大戦下のリトアニアにて外交官としての千畝が勤務していた旧日本領事館であり、現在は千畝の資料館並びに記念館となっている建物です。
今でこそナチス・ドイツの迫害から数千人ものユダヤ人難民を救ったこととして賞賛され、日本でも国による名誉回復があったことで知られるようになってきましたが、近年に至るまで日本ではなかなかその功績が認められてきませんでした。
妨げとなったのは、紛れもなく国の意向や命令への背信行為によるものでしょうし、またこの行為というのは、当時の軍国主義や日本が枢軸国としてドイツと同盟を結んでいたこと、同盟国間でもスパイが身近に潜んでいたことを考えると、自身や家族にも危害が及ぶ恐れもあったと推察でき、少なからずリスクと隣り合わせであったとも考えられます。
そのような状況下でもリトアニアを離れる列車の中で最後の最後まで命のヴィザを書き続けたという千畝は、自分の意思を貫く信念の人であり、また人を愛する思いやりに溢れた人と言えるのではないでしょうか。
千畝の世界を訪ねる
冒頭でも記載しましたが、千畝のこのストーリーは2015年に唐沢寿明さん主演で映画化されています。これまでご興味なかった方も興味がありながら観たことはなかったという方も是非この機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。
また、千畝の故郷である岐阜県にも記念館があり、日本でも千畝の功績に触れることができますので、ご興味のある方はこちらも是非訪れてみてください!
- 住所 : Vaižganto g. 30, Kaunas 01100 リトアニア
- 入場料 : 4€
- 開館時間
- 10.00 – 19.30(4/1 – 9/30)
- 11.00 – 17.30(10/1 – 3/31)
- 公式サイト : こちら
岐阜の記念館について
- 住所 : 〒505-0301 岐阜県加茂郡八百津 1071番地
- 入場料 : 300円(中学生以下無料)
- 公式サイト : こちら
ホテル・メトロポリス / Metropolis, viešbutis
ソ連占領下となったリトアニアにおいて、ソ連や日本本国より領事館からの退去命令が出た千畝がリトアニアを離れる直前まで滞在し、命をヴィザを発給し続けた場所として知られるホテルです。外壁にはその功績を称える記念プレートが飾られています。この地を訪れた際は是非一泊してみてください。
- 住所 : S. Daukanto g. 21, Kaunas 44249 リトアニア
- 公式サイト : こちら
旧大統領官邸 / Istorinė Lietuvos Respublikos Prezidentūra Kaune
ヴィリニュスがロシア占領下に置かれ、臨時的に首都がカウナスに移転した際の1919年から1940年までの間において大統領官邸として使用されていた建物です。2005年より旧大統領官邸としての歴史を紹介する博物館として一般公開されており、イベントスペースなどとしても利用されています。
- 住所 : Vilniaus gatvė 33, Kaunas 44290 リトアニア
- 開館時間
- 10.00 – 17.00(火、水、金)
- 10.00 – 19.00(木)
- 11.00 – 16.00(土、日)
- 入場料 : 5€
- 公式サイト : こちら
カウナス城 / Kauno Pilis
14世紀に建造されたカスナスに現存する最古の建造物であり、またリトアニアにおいても最も古い石造りの建造物のひとつでもあります。周りが河川敷公園となっているので、のんびり楽しめる空間となっています。
- 住所 : Pilies g. 17, Kaunas 44275 リトアニア
- 開館時間
- 10.00 – 18.00(火曜から金曜)
- 10.00 – 17.00(土曜)
- 公式サイト : こちら
カウナス大聖堂 / Kauno Šv. apaštalų Petro ir Povilo arkikatedra bazilika
建造に関する資料が消失してしまっているため正確な建造時期は不明とのことですが、1413年には書物により建造が確認されている中世のカトリック教会です。ゴシック式の建造物としてはリトアニアにおいて最大のものとなっているそうです。
- 住所 : Pilies g. 17, Kaunas 44275 リトアニア
- 公式サイト : こちら
市庁舎と市庁舎広場 / Kauno rotušė and Kauno senamiestis
カウナスのシンボルであり、カウナスの歴史において重要な役割を担ってきた市庁舎です。建物前方に聳えるスレンダーなタワーとその色から白鳥の姿に例えられる美しい建物で、記念式典や公的なイベントで使用されるほか、カウナス市のミュージアムにもなっています。内部ツアーも実施されており、中世の時代に建造された建物の歴史を知ることができます。
また、広場の一角には世界で始めてパペット・アニメーションを制作し、ヨーロッパのウォルト・ディズニーとも呼ばれるラディスラフ・スタレヴィッチ(Władysław Starewicz)のメモリアルもあります。
- 住所 : Rotušės a. 15, Kaunas 44279 リトアニア
- 開館時間
- 10.00 – 18.00(火曜から金曜)
- 10.00 – 17.00(土曜)
- 公式サイト : こちら
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ウェブストアおよび実店舗オーナー、インポーター、エクスポーター、アンティーク&ヴィンテージコレクター、ファッションコーディネーター、旅人
ヨーロッパ長期滞在は3ヶ国(イタリア、アイルランド、デンマーク)でトータル2年半。 現在は日本を中心に活動しながら商品買い付けや旅などでヨーロッパを訪れています。旅はヨーロッパ限定で20ヶ国程度。
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