公開日 14/10/2021 最終更新日 26/02/2023
アラビアについて
- メーカー名 : アラビア(ARABIA)
- 設立 : フィンランド・ヘルシンキ(1873年)
1873年にスウェーデンのロールストランド社(Rörstrand)によって設立されたキッチンウェアやテーブルウェアに特化したフィンランドの陶器および磁器メーカー。昨今、非常に注目度が高くなっている北欧ヴィンテージを代表するメーカーのひとつとして知られる。現在は同じくフィンランドのガラスメーカーであるイッタラ社(iittala)の傘下企業となっており、以前はアラビアより展開されていたカイ・フランク(Kaj Franck)のティーマ(Teema)や時代によってはアラビアブランドとして展開されていたオイバ・トイッカ(Oiva Toikka)のカステヘルミ(Kastehelmi)などは現在も引き続きイッタラ社から展開されている。
なお、そのイッタラやアラビアの礎となったロールストランドも含めた現在の親会社は、主にはさみや園芸用品を取り扱うフィンランドの一般消費財メーカーであるフィスカース社であり、その他ロイヤルコペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)やウェッジウッドなど世界を代表する多くのメーカーが傘下の企業となっています。
アラビアからは前述のティーマやカステヘルミなど、数々の名作が世に送り出され、またそれらを生み出した才能溢れる数多くのデザイナーたちが活躍しました。しかし、時代の変化と共に多様化する世の中において、多くの陶器メーカーが徐々に苦境に立たされるようになり、アラビアも例に漏れず2016年にヘルシンキの工場を閉鎖。現在の生産拠点はタイやルーマニアとなっていることや製造技術の向上から、現行品とヴィンテージではもはや同一メーカーのアイテムでありながら趣の異なるものとなっています。
デザインというのは時代に合わせて成熟していくものであることから、現代は”安く””大量生産する”ことが求められており、ヴィンテージが製造されていた当時の雰囲気や感覚によるハンドクラフトの温かさ、ちょっとした粗い部分の見える個性は現行品にはないヴィンテージならではのものとなっています。
デザイナーが各々に個性を発揮し、魅力的なアイテムを世に送り出してきた時代を感じながら、アラビアヴィンテージの世界を楽しんで頂ければ幸いです。
インケリ・セッパラ / Inkeri Seppälä(1944 – 2010)
ヘルシンキ生まれのフィンランド人陶芸家。1969年よりアラビアでのキャリアをスタートする。代表作はファエンツァ(Faenza)や可愛いさくらんぼ柄が非常に高い人気を誇る(Kirsikka)シリーズ。
なお、彼女は2度結婚しているため、2度目の結婚以後の名であるインケリ・レイヴォ(Inkeri Leivo)でも通っている。
ファエンツァ(フラワー) ブラウン / Faenza(Flower) Brown
代表作のひとつとなっており、アイテムを埋め尽くすようにプリントされた小花柄が人気のシリーズで、ブルーとブラウンの2種類のカラーが存在します。
年代によって花柄のプリントに若干の違いがあり、アラビアがバルチラ(Wärtsilä)傘下にいた時代とその後でプリントが異なっていると思われます。
キルシッカ / Kirsikka
シルクスクリーンでプリントされたパッとするはっきりとした色調のさくらんぼが目を引く、非常に人気の高いシリーズです。
アンヤ・ヤーティネン・ウィンクィスト / Anja Jaatinen-Winquist(1934 – 2015)
学生時代にアートとデザインを学び1955年に卒業する。その年よりアラビアに所属し、1974年まで同社に在籍することとなる。1974年に同じくフィンランドでテーブルウェアを取り扱うペンティック(Pentik)へ移籍し、以後、キャリアを終えるまでを過ごすこととなる。その間、トゥルク(フィンランド西端の町。)に本拠を構えるタイルの製造会社にもデザイナーとしてデザイン提供を行っていたとのこと。
なお、夫は同じくアラビアでデザイナーとして活躍したペテル・ウィンクィスト(Peter Winquist)。
サーラ / Saara
大胆に描かれた花柄と渋いブラウンで彩られたバックの構成が独特の可愛さを放ちます。
タイカ / Taika
フィンランド語で魔法を意味するシリーズ名のようなダークファンタジーを感じさせる絵柄がかわいいシリーズです。
ヘルヤ・リウッコ・スンドストロム / Helja Liukko-Sundstrom(1938 – 現在)
1962年から工場が閉鎖される2016年までアラビアに在籍しました。アラビアでの仕事の他に絵本の制作も行うなど多方面で活躍し、その才能を発揮しています。2005年より自身のアトリエおよび会社を設立し、現在も第一線で活動を続けています。
バニーマグ
18種類の絵柄に加え、コラボマグなどが存在し、現地はもちろん、日本にも多くのコレクターがおり、ものによっては手に入れることが非常に難しいシリーズです。
花の陶板
花の部分は光を受ける角度によってオーロラのように美しい虹色の輝きを放つ釉薬が使用されているものもあります。
フリードル・ツェルベリ / Friedl Holzer-Kjellberg(1905 – 1993)
母国であるオーストリア第二の都市であるグラーツのデザイン学校にてアートとデザインを学ぶ。卒業と同時にアラビア社よりデザイナーとしてのオファーを受けヘルシンキへ。以後、入社した1924年よりキャリアの最終年である1971年まで46年もの長きに渡り、同社にてデザイナーとして活躍しました。
モダン・クラシチズムによるクラシックスタイルをベースとしたクリーンでシンプルなデザインを得意としています。
リーシ / Riisi
中国の陶磁器の加工技術である蛍手という透かし技法が用いられた白磁と釉薬部分のガラス質の透明感が美しいシリーズで、彼女の最高傑作として知られ、種々多様なアイテムが製造されました。
ヒルッカ・リーサ・アホラ / Hilkka-Liisa Ahola(1920 – 2009)
フィンランド人陶芸家。デコラティブ・アーティストとしてアラビアでの在籍期間は1947年からバルチラ(フィンランドの大手工業製品製造・開発会社)傘下となった1975年まで。
1936年から1941年にかけて大学にて磁器装飾やアート、デザインを学ぶ。1943年から1944年に掛けてはインターンとして、前述の1947年よりアーツ・アンド・クラフツ部門にてデコレーションを担当し、アラビアでのキャリアをスタートする。1968年よりアラビアでのキャリア終了となる1974年に掛けてはアート部門に在籍する。
彼女は、イタリアのファエンツァで1968年に開催された国際美術展であるビエンナーレ(Grand Prix in Faenza ceramic Biennale 1968)にてゴールドメダルを獲得し、賞賛を浴びたことでよく知られ、アラビアでも随一の才能の持ち主であったと言われる。
プレート
アートタイル
イタリアのファエンツァで1968年に開催された美術展であるビエンナーレ(Grand Prix in Faenza ceramic Biennale 1968)出展用に制作した超激レアでコレクタブルなアートタイルです。
彼女はこちらのタイルと共にビエンナーレにおいて金賞を獲得し、グランプリに輝いています。
その他のデザイナーと作品について
上記で紹介した以外にも数多くのデザイナーが活躍し、魅力ある作品を世に送り出してきました。
また作品の多い他のデザイナーについては、別ページにてご紹介しています。
ぜひそちらも併せてご覧くださいませ。
フィネル / FINEL(1960 – 1982)
アラビア社のホーロー部門として設立されたブランド。アラビア社を代表するデザイナーたちによって、フィネルにおいてもいくつもの名作が生み出されました。
それらのシリーズは現在、その可愛いデザインと製造期間の短さに起因する出会いの少なさから、非常に人気の高いアイテムが並びます。
フィネルについてより詳しくご覧になりたい方はこちら。
ウェブストアおよび実店舗オーナー、インポーター、エクスポーター、アンティーク&ヴィンテージコレクター、ファッションコーディネーター、旅人
ヨーロッパ長期滞在は3ヶ国(イタリア、アイルランド、デンマーク)でトータル2年半。 現在は日本を中心に活動しながら商品買い付けや旅などでヨーロッパを訪れています。旅はヨーロッパ限定で20ヶ国程度。
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